検索窓
お問合せ
お知らせ
最新のエッセイ
『コラム・THE 名前 Dictionary』へのお名前募集
【環境・時事】
【キレイ・ファッション】
【子育て】
【食べ物】
【ライフスタイル】
【恋愛・結婚】
【地球丸編集部】
【ライフスタイル&食べ物】
【コラム】
特別号
連載『子ども歳時記・12月』
月がめぐり、季節が変わる
子どもたちと一緒に感じる世界中の歳時記


文・宮戸かおり(ビアリッツ・フランス)


 11月末からクリスマスまで、フランス各地では恒例の、クリスマスだけの屋台市“マルシェ・ド・ノエル”が立ち並ぶ。フランスでのクリスマスの過ごし方は、まずこのマルシェ・ド・ノエルをめぐって、家族や友達のクリスマスプレゼント選びとツリーの買出しから始まるといってもいいだろう。

 このころの街はきれいにデコレーションやライトアップされ、この季節にしか味わえない独特の雰囲気で包まれる。ただ、このマルシェ・ド・ノエル、フランス限定ではないようで、英語でもクリスマスマーケットといい、イギリスにも、またドイツにも見られるので、ヨーロッパの風物詩のひとつともいえるかもしれない。

 並ぶお店は、まず本物のもみの木を販売するクリスマスツリー屋さんに始まる。そして、クリスマスのプレゼントにふさわしい楽しいおもちゃやアクセサリー、サンタさんの衣装や帽子、巨大靴下やパーティー用品などのクリスマスグッズ、手作りのエキゾチックな置物、そしてクリスマスツリーの飾り、ワイングッズ、チーズ屋さん、ソーセージ屋さん、お惣菜屋さんなどが小さなブースにそれぞれの店を構える。華やかな色の商品は目にも楽しく、ついいろいろ手にとって見たり、お店の人と話がはずんだり、時間はあっという間に過ぎていく。

 フランスのバスク地方で、大きなマルシェ・ド・ノエルといったら、やはりバイヨンヌ。そしてお酒好きなわたしにとってここでの楽しみは、なんと言ってもホットワイン、“ヴァン・ショ”。クリスマスも近づくと、気候温暖なフランス南西部バスクといえど、そろそろ冷え込みも厳しくなってくるので、ホットワイン片手にまずは体を温めるのが鉄則。おなかがすいたらサンドイッチバーでバゲットにはさまれたハンバーガーや、チーズのお試しコーナーで試食に励むもよし。巨大ななべで調理されるじゃがいもとベーコン、チーズの“タルティフレット”は、見ているだけでも汗がでそう。お皿に盛ってもらい、立ち食いするのが一番おいしい。またおやつにもってこいなのが、”栗”、寒い中でローストされたアツアツの栗をほお張るのも楽しみのひとつ。

 マルシェ・ド・ノエルは、歩けば歩くほど面白いグッズを発見できるのが醍醐味。ワイングッズのお店には、ワインがボトルの口からこぼれてテーブルクロスを汚すのを防ぐリングや、かわいい替えコルク、洗練されたスタイルのワインオープナーなど、小さい屋台ながらも品揃えは豊富。クリスマスツリーを飾るデコレーション専門店などはガラスでできた丸い玉にひとつひとつ手描きのデザインが施してあるものなどもあり、作り手の情熱が感じられて、つい衝動買いをしてしまう。思いがけずお気に入りの一品を見つけられるよい機会かもしれない。

 マルシェ・ド・ノエルでプレゼントが見つかったら、次は12月1日になる前にアドベントカレンダーをゲット。これは、立体的なクリスマス用のカレンダーで、日付の1から24までの数がついた窓をあけると中にチョコレートが入っているもの。12月1日から順に日付ごとに窓を開けていき、中のチョコレートを毎日楽しみにしながら、クリスマスまでの毎日を指折り数えるのだ。

 さて、クリスマス当日は、お店もすべて閉店。街はひっそりと眠ったようになり、みな家で家族との時間を過ごす。この日までに田舎へと帰省する人たちもおり、1年に1度家族だけの時間を過ごす大切な日としている家族も多い。

 クリスマスの朝は恒例、サンタクロースから贈られたプレゼントを開けることにはじまり、昼は家族全員で食卓を囲み、大量のごちそうをいただく。昼から夜までかけておいしいごちそうを食べながら長く会えなかった家族がお互いの情報を交換しあい、笑い声の中で時間がゆっくりと流れていく。この日は朝から教会でミサが行われ、ふだんそれほど敬虔でないクリスチャンの人も、この日ばかりはと、みなが教会へつめかけていくのが微笑ましく、日本の初詣を髣髴とさせる。

 キリスト教が多く普及しているフランスでは、やはりクリスマスの挨拶は「Joyeux Noel (ジョワイエノエル/クリスマスおめでとう)」。宗教祭事として尊ばれ、季節の彩りとなるこの伝統はこの先にもずっと続いてもらいたい。

《宮戸かおり(みやとかおり)/プロフィール》
翻訳・フリーライター、新潟県魚沼市出身www.kaorimyatt.com翻訳はアディダス、アップルコンピューター、マイクロソフト、スターバックスなど、マーケティングや広告分野をひろくカバー。朝日新聞、ウェブコミュニティマガジンgreenz.jpにも寄稿中。訳書には、『トロールと奇跡の指輪』(Normans社・刊/日本国内未発売)など。



地球はとっても丸い:第100号